研究概要 |
膿疱性乾癬,尋常性乾癬などの乾癬病変の大きな病理学的特徴として病変部への好中球浸潤がある。今回の研究では,膿疱性乾癬病変の形成における好中球浸潤の役割を調べることを目的とし,好中球の浸潤能をin vitroで定量化するモデルを作成し,実際の膿疱性乾癬患者についてこの方法を応用して好中球浸潤能を検討した。 病勢が低い時期の膿疱性乾癬患者の好中球は正常人に比較して,TNF刺激した内皮細胞に対して遊走能が亢進していた。一方,病勢が高い時期の膿疱性乾癬患者の好中球は,TNF刺激しない内皮細胞に対しても遊走能が亢進していた。TNF刺激した内皮細胞はICAM-1,ELAM-1といった炎症性の接着分子を発現することが知られており,炎症部位の血管のモデルとなると考えられることから,膿疱性乾癬患者ではもともと炎症部位での好中球の経内皮細胞遊走能が亢進しており,さらに病勢が高い時期には炎症をおこしていない部位でも好中球遊走が亢進するのではないかと考えられた。この研究で得られた知見はMatsumura T,Sato-Matsumura KC,et al.Transendothelial migration of polymorphonuclear leukocytes is activated in the patients with generalized pustular psoriasis.J Invest Dermatol 1999;112:645に発表された。 この知見を元に,培養血管内皮細胞において接着分子と細胞骨格蛋白の関わりをも明らかにすべく,免疫組織学的手法を用い,コンフォーカル蛍光顕微鏡を用いて検討した。その結果,血管内皮細胞が膿疱性乾癬などの炎症性疾患においても,特に成長に応じて細胞骨格蛋白と深く関わっていることが明らかにされた。
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