1.転写因子候補クローンについての検討 平成11年度の検討よりの候補クローン遺伝子2種のリコンビナント蛋白質についてのゲルシフトアッセイの結果、両者ともmatrix metalloproteinase 9およびインボルクリンプロモーターの遺伝子配列、KRE-M9およびKRE-4と結合することを確認した。一方(候補1)は細胞内蛋白としてヒト第5染色体上に存在していると報告されているが、アミノ酸配列から核内にも存在する可能性が強く示唆された。もう一方(候補2)の遺伝子配列はpoly Aを含む約800bpsであったため5'-RACE法を用い約1、200bpsまで、ヒトゲノムdata baseを用いて約1、500bpsまで5′端に遡って配列を決定した。本遺伝子はヒト第17染色体上に存在、アミノ酸配列からglucose-6-phosphataseと相同性を有する蛋白質であることが判明した。 2.転写因子の発現についての検討 (1)発現を検討するための準備 転写因子遺伝子をpBluescript、GFP-N1およびpGEX-4Tのvectorに組み込み、probeを調製した。大腸菌の大量培養を行い、培養液よりGST gene fusion systemを用いてリコンビナント蛋白を得た。また合成ペプチドに対する兎ポリクローナル抗体を作成した。 (2)発現の検討 正常ヒト皮膚を用い、インサイチュハイブリダイゼーション法により候補2遺伝子が表皮基底層および直上細胞に特異的に局在すること、また免疫組織化学的に候補1蛋白が基底層、有棘層細胞の一部の核内および有棘層細胞の一部細胞質に局在することを確認した。また、候補1蛋白発現vectorをtransfectされた培養ケラチノサイトではインボルクリンの発現が認められないことを蛍光抗体法により確認した。
|