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1999 年度 実績報告書

細胞間接着を維持し細胞外基質との連絡を失った角化細胞の分化に対する液性因子の影響

研究課題

研究課題/領域番号 11770453
研究機関浜松医科大学

研究代表者

脇田 久史  浜松医科大学, 医学部, 助手 (70242766)

キーワード表皮角化細胞 / 表皮成長因子 / 角化
研究概要

一般に,成長因子が正常付着性細胞を増殖させるには細胞と細胞外基質との連絡が不可欠なので,皮膚表皮基底上層でepidermal growth factor receptor(EGFR)が活性化すると増殖以外の変化が角化細胞におこる可能性がある.そこで,EGFRの活性化が浮遊培養下の正常ヒト表皮角化細胞に与える影響を検討した.
特殊樹脂で被覆したシャーレ上で角化細胞を強制浮遊培養すると,培養開始24時間以内に早期分化マーカーであるkeratin10が,48時間以内に後期分化マーカーであるprofilaggrinが発現し,表皮角化過程を模倣した分化が誘導された.この系にEGFRリガンド(EGF及びTGF-α)を添加すると,keratin10の発現量は低下したが,profilaggrin発現量およびtype1 transglutaminaseの発現量と全酵素活性量が増加し,さらに,最終分化産物cornified envelope出現までの時間は短縮した.また,分化マーカー蛋白質は,定常状態メッセンジャーRNAレベルにおいても同様の変動を示した.これらのEGFRリガンドの効果は,EGFRに対する中和抗体やEGFRのチロシンリン酸化活性阻害剤の同時投与により阻害されたので,EGFR活性化によると考えられる.さらに,EGFRリガンドによるprofilaggrin発現増強作用は,protein kinase C阻害剤やmitogen-activated protein kinase kinase阻害剤により抑制されたが,keratin10の発現抑制作用には影響を与えなかった.以上より,浮遊状態でのEGFR活性化は,培養角化細胞の最終分化を促進,加速させることが示された.
今回の結果より,表皮全体でEGFR活性化した場合,基底細胞層での増殖が亢進しても,表皮基底上層での最終分化が促進され,表皮構築がある程度一定状態に維持される可能性が示唆された.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Hisashi Wakita: "Activation of Epidermal Growth Factor Promotes Late Terminal Differentiation of Cell-Matrix Interaction-disrupted Keratinocytes"The Journal of Biological Chemistry. 274・52. 37285-38291 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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