本年度は単球、単球由来樹状細胞(MoDC)上に発現する高親和性IgEレセプター(FcεRI)の架橋により誘導される活性化現象に対する低親和性IgEレセプター(FcεRII)の架橋シグナルの抑制作用に関して研究を行い、以下の結果を得た。 1.単球、MoDC上のFcεRI架橋によって誘導されるサイトカイン、ケモカインの産生、抗原提示に必要な共刺激分子の発現、アポトーシスの抑制、遊走能や抗原提示能増強などの活性化現象は、同時にFcεRIIを架橋することによって抑制された。 2.単球、MoDCの活性化に対するFcεRIIの架橋による抑制作用は、これらの細胞のFcεRIIを架橋した培養上清では認められないことから、細胞の産生する可溶性分子を介したものではなく、FcεRIの架橋により誘導される細胞内の活性化シグナルに対する直接的な抑制効果であると考えられた。 3.単球、MoDC上のFcεRIとFcεRIIを同時に架橋した後、経時的に調製した細胞抽出液を、ウエスタンブロッティングで解析したところ、チロシンリン酸化が抑制されていた。 以上のことから、抗原提示細胞上に発現するFcεRIを介する活性化シグナルは、FcεRIIを介する抑制シグナルによって阻害されているものと考えられた。
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