研究概要 |
【平成12年度の目的】アシクロビルを長期投与されているImmunocompetent hostの性器へルペス病変部から薬剤耐性株が分離されるかを検討すること、その病原性を検討すること 【方法】慈恵医大皮膚科ヘルペス外来を受診している性器ヘルペス患者から上記目的を説明し承諾をとったうえで、性器ヘルペス病変部水疱内容液を採取した。検体はVero細胞に接種してウイルスを分離した。2継代目にアシクロビル添加(5,10,20%W/V)培養液を用い細胞変成効果(CPE)の有無を確認した。同一患者から分離されたウイルス株はHirt変法によりウイルスDNAを抽出後Restriction fragment length polymorphismにより株の異同を検討した。 【結果】対象者:免疫異常が明らかでない男性5名(年齢中央値37歳[29歳から42歳]でアシクロビル投与期間平均3年6ヶ月)と免疫異常が明らかでない女性2名(28歳、30歳でアシクロビル投与期間平均3年1ヶ月)の計7名。うち6名が再発時にアシクロビルを内服で投与され、1名が約10ヶ月間のアシクロビル少量(200mg/day)持続投与されていた。 観察期間中の再発性性器ヘルペスおよび予後:平成12年4月から平成12年12月各患者の再発回数中央値2回(範囲:1回〜6回)で、のべ再発回数18回。アシクロビル少量持続内服中患者は明らかな再発1回で、それは1ヶ月間の休薬中であった。のべ18回の再発に対し、アシクロビル内服1000mg/dayx5日間投与したところ、痂皮化(治癒)するまでの期間中央値5日間(範囲:3日間〜7日間)であった。病変部からのべ16検体を採取した。 ウイルス分離結果:全検体より単純ヘルペス2型を分離した。同一患者から分離されたウイルス株はすべて同一株であった。アシクロビル存在下でCPEが確認された分離株はなかった。 【結論】健常者から薬剤耐性株が分離されることはなかった。健常者であればアシクロビル少量持続投与で薬剤耐性株が誘発されることはなかった。
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