5-Doxyl Stearic acid でラベルした角層に対して電子磁気共鳴法スペクトラから算出したorder parameter Sはヒト角層の流動性を評価するのに有用な手法でありorder parameter Sの値はヒトパッチテストにおける皮疹判定スコア、TEWL値、細胞毒性試験結果と相関している。これらの知見は死体皮膚を処理して得られた角層シートを用いた値で、生体での評価は成されていない。今回健常人20人の角層をサンプリングしESRスペクトラを測定してorder parameter Sを算出し、この新しい手法の妥当性を評価した。まず従来の死体皮膚から得られた角層を活性剤で処理したデータと比較したところ強い相関性を示し、同様にTEWL値ともよく相関した。今後この手法を用いて健常人での加齢に伴うESRの変化と、乾皮症などの疾患での評価を行い、ヒト表皮脂質層の疾患特異性を明らかにしたい。
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