ラット脳という非常に小さい対象に対し、安定したMR spectroscopyの結果を得ることが最大の課題であり、本年度は正常ラットを用いcontrol群のデータ蓄積を目的に研究を行った。臨床用1.5-T MR装置では6×6×6mmのVOIが細小サイズであり、ラット脳においてはほぼ全脳を検査対象とすることになった。わずかな磁場の乱れ、ラットのわずかな体動がMRSのデータ収集に大きな影響を及ぼしたため、これらを制御することが課題であった。磁場の乱れに対してはラットをMR装置の中央に置けるような器具を作成し、シム調整を繰り返すことで対処できるようになった。また、良好な深麻酔が継続できた場合にはラットの体動もなく良好なMRSのデータを収集できたが、今回我々が用いた麻酔薬の腹腔内投与では麻酔の継続が不安定であり、試行錯誤を繰り返すこととなった。解決策として温水を循環させることによりラットの体温を保つ方法を考え、恒温槽、循環ポンプを購入し、来年度はcontrol群のデータ蓄積、チアミン欠乏ラットの経時的代謝変化を観察する予定である。
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