今回の研究目的は根治的放射線治療を施行する頭頸部癌の刺入測定が可能である原発巣、頸部転移リンパ筋において、治療前に腫瘍及び正常粘膜内酸素分圧を測定し、局所制御における予後因子としての意義を検討することである。検討は平成11年度より行う予定であったが、以下の3点ににより、検討の進行が遅れている。すなわち、(1)平成11年度前半において、電極校正装置の故障により正確な測定ができなかった。(2)原発巣に対する刺入位置の客観的な確認が困難であった。(3)頸部リンパ筋の刺入に対して直接刺入の測定が困難であった。 (1)については、現在は電極校正装置を再購入してあるため測定が可能となっている。(2)に対しては、現在ある刺入針では中咽頭癌などの比較的刺入が容易である部位のみの測定に限られてしまっていた。しかし、今回喉頭ファイバーを経由して腫瘍酸素分圧を測定する刺入針を購入中であり、用手的な測定が困難である部位(例えば、上咽頭、下咽頭、喉頭etc.)に対しても測定が可能となる。(3)については、リンパ筋の酸素分圧測定に対しては、耳鼻科の強力を得て、皮膚切開等でリンパ筋の刺入を容易にした上で測定を行うことを考慮している。 以上より現時点での計測は数例にとどまっているが、今年は症例数を増やした検討が可能であり、去年の遅れを取り戻すべく検討を続行していく予定である。さらに、99年度より発売された造影剤を併用した超音波ドップラー検査により腫瘍内の血流動態を把握することが可能となったため、腫瘍内酸素分圧との比較も検討していく予定である。
|