研究概要 |
単一エネルギーX線を発生させる分光装置を構築し,基礎的な検討を行った。分光装置は,結晶回折法を応用したもので,医用X線管から発生する連続エネルギーX線をシリコン単結晶により分光させ単一エネルギーX線を得た。平成11年度は,この装置により得られた単一エネルギーX線の特性を、エネルギー分解能と出力X線量の観点から検討した。 これらの研究により、以下の成果が得られた。 (1)分光装置を構築したことで,医学画像診断で用いられているエネルギー領域の単一エネルギーX線が得られるようになった。この分光装置は,シリコン単結晶を用い連続エネルギーX線をブラッグ反射により分光し単一エネルギーX線を得る。しかし,ブラッグ反射による分光は,単一エネルギ一X線が1次元となるため,X軸ステージを利用してシリコン単結晶を駆動させることにより2次元的な単一エネルギーX線が得られるようした。 (2)単一エネルギーX線のエネルギー分解能とX線線量などにより,構築した分光装置の基礎的な性能評価を行った。性能評価の測定には,コンピュータ解析装置,半導体検出器,マルチチャンネルアナライザー,X線線量計などを使用した。この結果,構築した分光装置においは、エネルギー分解能が20〜70keVの範囲でΔE/E×100=1〜2%,反射強度が全白色X線(連続X線)の約1%を有していた。 これらの研究成果は、画像検出器のエネルギー特性の評価ならびに単一エネルギーX線による撮影が行えることを示した。
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