平成11年度に引き続き、脳動脈瘤症例に対して多列検出器型CT(MD-CT)を用いて至適な検査法についての検討を行った。MD-CTの利点とされる撮像時間の短縮については、従来の一列を配した検出器をもつらせんCT(SD-CT)では50秒を必要としたものが、約15秒と三分の一以下にまで短縮することができ、三次元画像としては同等以上の画像が得られた。造影剤使用量については従来のSD-CTでは100mlを使用していたものが、60mlの使用で脳動脈瘤の好発部位を十分に含めた撮像が可能と判明した。現状における頭部CTの造影剤使用量が40-100mlという背景をふまえ、40mlを用いてダイナミックCTを施行し、その後60mlの造影剤を使用してヘリカルスキャンを行う方法を確立し臨床応用を開始した。本法の利点は至適な撮像タイミングを撮像前に検出しえることにある。また、新たに本院に導入されたCT perfusionは脳血流を定量的に検出しえる新しい画像解析ソフトであり、ダイナミックCTの画像データを用いて新たな画像解析の検討を開始した。至適撮像法の検討では脳動脈のtime-dennsity curveを作成し造影剤のピークについて検討を開始した。症例数は十分ではないが、動脈瘤破裂に伴うくも膜下出血症例では、体重や心機能等の影響だけでなく造影剤のピークが遅くなる傾向が見られ、出血に伴う脳圧亢進等が関与している可能性を考慮し、今後症例数を重ね検討を行う方針である。未破裂動脈瘤に関しては位置や瘤径など様々な症例を経験したが、瘤内血流に関しては動脈硬化など様々な因子が関与しているものと推定され、今後も症例数の積み重ねが必要と考えられた。平成11年度に施行した検査と比べ動脈瘤径の増大した症例は無く、今後可能な限り追跡調査を行っていく方針である。
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