研究概要 |
乳房温存術後に施行される放射線治療(切線照射)後に起こる副作用について,特に肺・皮膚への影響を経時的に観察・評価した。放射線治療方法は,4MVリニアックX線を用い,Non-opposed pair法にて,残存乳房へ50Gy/25fr./5Wで行った。Wedge Filter,Gantry角度,CLD(Gentral Lung Distance),Boost照射の有無については,各症例ごとに詳細に記載を行っている。照射後の皮膚障害については,患者本人の自覚症状の変化を観察すると共に,皮膚温の測定を(簡易的に)測定し、その経時的変化を評価した。同時に皮膚の浮腫や創部の硬結の改善に対してクリニカル・マッサ-ジを指導し,臨床的効果について評価した。肺障害については,放射線治療後に起こる照射野に一致した肺野の変化と,照射野外に時として起こりうる変化に分けて観察した。検査方法は,胸部CT(HR-CT)を用い,撮影時期は,放射線治療前〜中(乳房温存術後として),治療後6か月後,12か月後,24か月後,36か月後をルーチンとし,症例によっては,治療後1〜2か月後を追加した。これにより切線照射後の急性期〜亜急性期〜晩期についての観察が可能であり,肺野の変化の終末像を観察することもできた。また,照射野外に出現する変化については当院だけでは症例数が少ないため,全国にアンケ-ト調査を郵送し,157施設の解答を得ており,うち28施設に照射野外の肺障害症例が有りとの結果がでている。今後はさらに詳細な調査をすすめ,照射野外の変化についての頻度,原因,早期発見への指標,治療方針等を検討してゆきたいと思っている。
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