脳抑制性神経細胞受容体の一つであるGABA/ベンゾジアゼピン受容体の特異的リガンドであるフルマゼニールに陽電子放出核種であるC-11を標識し、右中大脳動脈閉塞手術を施行したヒヒに投与し、PETにてその脳分布を定量的に画像解析し、脳病理標本の対比により、脳虚血性神経細胞喪失の核医学的画像化の意味を検討することを目的とする。本年度は、平成11年度に引き続き同様な手法にて、脳領域の一つである島(insula)でのC-11標識フルマゼニールの分布、0-15酸素などによる脳血流測定および対応領域の脳病理標本所見を検討した。右中大脳動脈永久閉塞手術後慢性期にて右insulaの脳血流は低下し一部の脳神経細胞に選択的神経細胞死の所見を脳病理標本(ヘマトキシリン-エオジン染色)上認めたが、PETでは対応する右insula領域のC-11標識フルマゼニール分布に有意な変化を認めることはなかった。このように、GABA/ベンゾジアゼピン受容体マッピングは脳虚血/梗塞性神経細胞喪失を必ずしも意味していないことが再確認された。
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