1.抗ヒトACTEIIIポリクローナル抗体と抗ラットACTEIIIポリクローナル抗体の作製 ヒト由来のACTEIII cDNA全長をサブクローニングしたp GEXベクター(Pharmacia社製)を用いて大腸菌内でGST-ACTEIII融合蛋白の大量発現を行い、SDSポリアクリルアミド電気泳動法(SDS-PAGE)で分離精製した。これを抗原として家兎に免疫した。2カ月後に採血、抗血清を採取し、in vitroの系で、Western blottingを行ったところ、37kDの単一のバンドを確認できた。 2.培養細胞でのACTEIIIの高発現による細胞内小器官の形態変化 ヒト由来のACTEIII cDNA全長をpBSK-CMV発現ベクターにサブクローニングして作製したコンストラクトを、カルシウムリン酸法を用いてCos細胞にTransfectionし、ACTEIII蛋白を強発現させた。この細胞をパラフィン固定して切片を作り、走査型電子顕微鏡で細胞内小器官の変化を検討した。この結果、この酵素を高発現した細胞では、マイクロソーム様の脂肪顆粒の増加とミトコンドリアの形態変化が認められた。これらの知見から、ACTEIIIが、細胞内小器官の形態維持や、脂質代謝に普遍的な機能を果たしていることが推定された。 3.ACTEIIIの脳局在に関する検討 ACTEIII cDNAに対して特異的なRNAプローブを作製し、ヒトの脳外科切除神経組織をクライオスタットを用いて凍結薄切切片とし、上述のプローブとともにハイブリダイゼーションに供した。その結果脳組織内に、広範にACTEIII mRNAが発現していることがわかった。現在さらにハイブリの条件を検討し、また免疫染色を行って、脳内のACTEIIIの発現分布を詳細に検索している。
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