ヒトGM-CSF受容体以降の細胞内情報伝達機構を解明すべくGrb-2分子に注目した。 ヒトGM-CSF依存性細胞株のUT-7細胞を用いた解析の結果、Grb-2分子に会合する新規分子ppl35の純化、クローニングに成功し、STAT-5とGrb-2との恒常的結合を発見した。更に、STAR-5、Grb-2、Sosの三者が一つの複合体を形成している事実を確認した。STAT-5はJak/STAT pathwayに属する転写因子であり、一方、SosはRas pathwayに属するRasを活性化するGuanin nucletide exchange factorとされている。そしてこの二つの代表的細胞内情報伝達経路はこれまで独立したpathwayと考えられてきた。しかし以上の実験結果は、このふたつの経路がGrb-2分子において相合に関連性を有している。即ちクロストークの存在を示唆するものとして非常に興味深い。以上の研究成果をもとにGrb-2とSTAT-5の結合及びpp135の機能解析を中心に細胞内情報伝達経路のクロストークの解析を生化学的及び生物学的方向から解析を行う。
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