1.レチノイン酸受容体(RARA)の転写活性に影響を及ぼす、造血細胞転写因子のスクリーニング:ノックアウトマウスの系で、PML遺伝子が顆粒球系細胞の分化に必要であること、またPMLはRARAによる転写を正に制御していることが相次いで報告された。まず我々もRARA responsive element(DR5)をエンハンサーに持つレポータープラスミドを用いて、RARAの転写活性のアッセイ系を構築を試みた。この結果、CBP/p300とのco-transfectionによって、これらの転写活性が亢進すること、およびPMLにより転写促進できる系を確立した。これをもとに、造血細胞に発現する各種転写因子が、RARA依存性転写に対して、PMLとどのようなクロストークをするのかを明らかにしようと試みた。エピトープタグを付け各遺伝子をCos-7細胞に遺伝子導入し、蛋白の発現を確認した。今後これらの転写因子が、RARAと共役するCBP/p300-PML転写複合体に及ぼす影響を検討すると共に、in vitro複合体形成能の検討と結合部位の同定をすすめ、クロストークの分子機序を解析する予定である。 2.遺伝子変異とその機能解析、造血器悪性腫瘍におけるCBP/p300の変異に伴う蛋白間相互作用の変化を同定する:急性骨髄性白血病を主として、様々な臨床サンプルにおけるCBP/p300の機能ドメインにおける遺伝子変異を、RT-PCR/SSCP法にて解析中である。これらの機能変化を解析するために、in vitroヒストンアセチル化活性、および変異遺伝子導入による細胞増殖および分化能の検討に移る。
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