研究概要 |
CBP/p300は,遺伝子発現の制御の共役因子であると共に、hemizygous knock out mouseのデータから腫瘍抑制活性が想定され。これまでに胃癌、大腸癌、乳癌などでp300の遺伝子変異が報告されている。一方造血器悪性腫瘍においては一部の急性骨髄性白血病において染色体転座によるキメラ遺伝子再構性が報告されているのみである。そこで、造血器悪性腫瘍細胞株および臨床検体においてこれら遺伝子変異をPT-PCR/single strand conformation polymorphism(SSCP)法にて解析し、腫瘍発生におけるCBP/p300の白血化における位置付けを検討した。白血病細胞株、および臨床検体26例について解析を行った。腫瘍細胞から抽出されたtotal RNAを用いて、CBP/p300各々につき、すでに機能が明かとなっている5つのドメインに対して合計25対のプライマーでRT-PCRを行い、non-hot法によるSSCPを行い、異常バンドの検出を行った。再現性のある異常バンドからDNAを抽出しシークンスベクターにクローニングた後に塩基配列を解析した。Tリンパ芽球性白血病細胞株CEMにて、p300に21塩基対のin-frame欠失を認めた。これはexon18の5'末端であったため、異常スプライシングの可能性を考えてゲノムPCRを行ったところ、intron17のacceptor siteにsomatic変異が確認された。この結果、p300のbromodomainの部分欠損が生じ、変異型蛋白においてはアセチル化活性の低下が推測された。臨床検体においては、遺伝子多形性は認めたものの、明らかなsomatiC変異は認めなかった。一部の造血器悪性腫瘍においてはCBP/p300がその腫瘍の発生に関与することが推測され、今後さらに症例数を重ねて検討する必要がある。
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