アポトーシス核変化の制御因子p74とp66とに相互作用する分子として、p74BPとp66BPを酵母のTwo-hybrid法で平成11年度にクローニングした。本年度は、それらの細胞レベルでの相互作用と細胞内局在を検討し、特異抗体を作成するための抗原として精製タンパクを得た。 (1)細胞内での相互作用p74BPをFLAGタグとの融合タンパクとして、全長のp74、p74のC末端側断片、p74N末端側断片をmycタグとの融合タンパクとして、COS-7細胞に発現した。FLAGタグに対する抗体で、myc-p74-N末端側断片が共沈降し、mycタグに対する抗体でmyc-p74-N末端側断片とFLAG-p74BPが共沈降した。p66BPとp66との共免疫沈降には、今の所、成功していない。一因は、p66が核外移行シグナルを有するために、下記のように核に局在するp66BPと結合できないためかもしれない。 (2)細胞内局在p74、p66、p74BP、p66BPをGFPとの融合タンパクとして培養細胞に発現させ、共焦点顕微鏡により、傾向タンパクの細胞内分布を調べた。p74とp66は、細胞質にびまん性に分布していた。p74BPは、核膜周囲に顆粒状に分布していた。p66BPは、核に局在していたが、その分布は、点状であった。細胞にスタウロスポリンでアポトーシスを誘導したところ、p66は、細胞膜に移行した。 (3)特異抗体の作成p74BPおよびp66BPを大腸菌にHisタグとの融合タンパクとして発現し、ニッケルカラムで精製することを試みたが、水溶性の条件では、精製不可能であった。そこで、グアニジンを用いた変性条件でニッケルカラムに結合させ、8M尿素を含む緩衝液で溶出したところ、高純度の精製標本を得たため、ウサギに免疫して特異抗体を作成中である。
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