B細胞におけるgp91-phox遺伝子転写調節に関与すると考えられるPU.1結合蛋白質としてIRF-4を同定した。 PU.1と他の因子と結合にはPU.1のリン酸化が大きく影響することが示唆されていたのでB細胞系及び骨髄系細胞株におけるPU.1のリン酸化の状態を抗PU.1抗体を用いたウエスタンブロット法により調べた。その結果いずれの細胞でもリン酸化型PU.1のサイズである42kdの位置にPU.1が検出された。そこで各種培養細胞の核抽出液とgp91-phox遺伝子のPU.1認識部位を含むプローブDNAを用いたゲルシフトアッセイを行い。興味深い事にB細胞を用いた場合のPU.1複合体の移動度が骨髄系培養細胞のそれよりも著しく遅いことがわかった。この結果からB細胞のPU.1複合体にPU.1結合因子が含まれていることが示唆された。イムノグロブリンk鎖遺伝子にはIRF-4とPU.1とが結合した複合体が結合する配列が知られているが、この配列とgp91-phox遺伝子のPU.1認識配列及び、その近傍配列は同じであることからIRF-4が先に述べたPU.1複合体に含まれることが予想された。そこで抗IRF-4抗体を用いたゲルシフトアッセイを行ったところ、この抗体によりB細胞のPU.1複合体の形成が阻害された。この結果からIRF-4がそのPU.1複合体に含まれていることが確認された。さらにIRF-4の機能を推測するために様々なB細胞系細胞株のIRF-4とgp91-phoxのmRNA量をノーザンブロットで解析するとIRF-4mRNA量が多い細胞ではgp91-phox mRNA量が少ないことがわかった。このことからIRF-4が本遺伝子の転写を抑制していることが示唆された。
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