1.B細胞におけるgp91-phox遺伝子転写調節に関与すると考えられるPU.1結合蛋白質としてIRF-4を同定した。 (1)各種培養細胞の核抽出液とgp91-phox(CYBB)遺伝子のPU.1認識部位を含むプローブDNAを用いたゲルシフトアッセイにより、B細胞のプローブDNA/PU.l複合体にPU.1結合因子が含まれていることを見いだした。 (2)(1)で見いだされた因子がIRF-4であることを明らかにした。 (3)様々なBリンパ系細胞株のIRF-4とCYBBのmRNA量を解析するとIRF-4mRNA量とCYBB mRNA量が相反していたので、IRF-4は本遺伝子の転写抑制因子であると考えられた。 2.樹状細胞の分化にIRF-4が関与してることを明らかにした。 (1)ヒト末梢血単球から樹状細胞(hMo-DC)への分化に伴い、CYBB遺伝子発現の減少に相反してIRF-4遺伝子の発現が上昇する事を見出した。本発見はhMo-DC分化に伴うCYBB遺伝子発現減少機構におけるIRF-4の関与を示唆するに止まらず樹状細胞の分化機構そのものにIRF-4が重要な役割を担っている可能性を示していたので、この可能性をRF-4ノックアウトマウス(IRF4KO)用いて検証した。 (2)In vitor系にて野生型マウス骨髄細胞由来の樹状細胞(mBMDC)のIRF-4発現を確認した。 (3)IRF4KO由来mBMDCのCD11c(樹状細胞のマーカー)の発現量は野生型マウス由来のそれと同等レベルであったがMHCクラスIIの発現量は著しく低く、形態的にも野生型とは異なり樹枝状突起が認められなかった。 (4)同マウスの脾臓細胞のCD11c発現細胞の数が野生型と比較し、約半分まで減少していた。以上の結果から、In vitro及びvivoにおいて正常な樹状細胞分化にIRF-4が必要であると考えられた。
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