1)Hep3B細胞の培養上清中の増殖抑制因子について、同定を試みた。その候補としてApo(B)蛋白などの可能性を推定し、現在Apo(B)抗体添加などによる抑制効果を検討中である。 2)培養上清をリンパ球系以外の細胞株(骨髄性白血病由来細胞株であるUT-7など)に添加培養したが、細胞増殖について明らかな変化を認めず、上清中の物質はリンパ球系細胞に特異性がある可能性が示唆された。 3)培養上清にATRA、cisplatin、doxorubicin、vincristin、etoposide、MST-16、dexamethasone、interferonなどを添加培養し、トリパンブルー法、MTTアッセイなどを用いた細胞増殖能に対する影響、形能学およびDNAfragmentation、TUNEL法、FACSなどを用いたアポトーシス誘導能に対する影響、FACSなどを用いた細胞周期への影響に関する解析、またノザンブロット法、ウエスタンブロット法などを用いたサイクリンA、サイクリンB、サイクリンD1、cdcなどの細胞周期関連遺伝子発現の検討を行い、新規物質との相互関係について検討中である。 4)今年度はさらに、培養上清に加えて肝炎と関係が深いとされるTGF-β、IL-1、IL-6、ILー10、肝細胞増殖因子(HGF)などのサイトカインなどを添加培養し、B細胞性リンパ腫細胞株に対するサイトカインの増殖促進効果、増殖抑制効果への影響を検討し、肝炎合併リンパ腫におけるサイトカインの調節異常の病態への関与をin vitroの観点で検討したいと考えている。
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