研究概要 |
慢性骨髄性白血病(CML)細胞株KU812のアクチビンAによる増殖抑制機構の解析として、以下の実験を実施した。 1.アクチビンA刺激KU812のDNA断片化の検出、annexin V/PI染色をそれぞれ実施し、KU812の増殖抑制がアポトーシスによることを明らかにした。 2.アクチビンAによるKU812のアポトーシスにIL-1βおよびIL-1 receptor antagonist(Il-1RA)産生調節が関与しているかを、IL-1β中和抗体あるいはIL-1RAを培養系に加えて解析した結果、増殖抑制は解除されなかった。またWestern blottingにより、IL-1β(前駆体、活性型)およびIL-1RAの発現量にも変化は見られなかった。 3.アクチビンAによるKU812のアポトーシスにIL-1β-converting enzyme(ICE,Caspase-1)産生調節が関与しているかを、ICE阻害剤を培養系に加えて解析した結果、増殖抑制には影響が見られなかった。またWestern blottingにより、ICE(前駆体、活性型)の発現量にも変化は認められなかった。 4.アクチビンAによるアポトーシス関連分子の発現量の変化を経時的にWestern blottingにより解析した結果、Bcl-2ファミリーではMcl-1の一過性強発現(0.5〜12hr),BaxおよびBcl-XLの持続的な発現(0.5〜96hr)が認められた。カスパーゼファミリーではCaspase-9および-3の活性型タンパクの発現が24hr後および48hr後から増加した。そこで、それぞれのカスパーゼ阻害剤を培養系に加えて解析したところ、KU812の増殖性も回復した。また、DFF45/ICADの分解が認められた。 以上の結果より、アクチビンAによるKU812のアポトーシスはMcl-1およびBaxの発現誘導、Caspase-9および-3の活性化、DFF45/ICADの分解を経て進行していることが明らかになった。
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