巨核芽球性白血病細胞株、Meg-Jをヒドロキシウレア存在下で培養し、G1期に同調させた後、同調を解除し、K252aとTPOを添加して多倍体化させる。経済的に細胞を固定し、細胞質分裂に必須なPLK-1、AIM-1などのキナーゼや71番目のセリン残基がリン酸化されたvimentinなどの細胞質分裂関連蛋白の発現を、それぞれに対する抗体を用い、免疫組織染色、ウエスタンブロット法により検討した。その結果、巨核芽球性白血病細胞株、Meg-J細胞では多倍体化に際しても71番目のセリン残期がリン酸化されたvimentinといった細胞質分裂関連蛋白の発現が上昇し、しかもそれらが分裂溝近傍に発現していることが判明した。また、細胞質分裂関連タンパク(AIM-1)についてアンチセンスオリゴを作製(現有のDNA合成機を使用)し、患者の同意の上で提供をうけた抹消血幹細胞(PBSC)や慢性骨髄性白血病細胞より純化したCD34陽性細胞を用いた系を使って多倍体化に対する影響について検討した。つまりCD34陽性細胞にインターロイキン3、トロンボポエチンを添加し液体培養した後、さらにイムノビーズ法にて巨核球系細胞を純化する。得られた純化巨核球系細胞にAIM-1のアンチセンスオリゴを添加し、その多倍体化に対する影響について検討を行った。その結果、ヒトCD34陽性細胞の系においてアンチセンスを添加した細胞では多倍体化の促進が認められ、AIM-1が巨核球の多倍体化に重要な役割を果たしていることが示唆されつつある。 今後さらに同様の系を用いて、巨核球多倍体化に際してこれら細胞質分裂関連蛋白相互の関連と、サイクリンB1、サイクリンA、cdc2などの細胞周期制御蛋白の関連について、binding assay、reporter gene assay、gelshift assayなどにより検討していく予定である。
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