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2000 年度 実績報告書

Na^+/HCO_3^-共輸送体遺伝子変異と近位尿細管性アシドーシスとの関連性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 11770603
研究機関杏林大学

研究代表者

稲冨 淳  杏林大学, 医学部, 助手 (00311960)

キーワード尿細管性アシドーシス / Na^+ / HCO_3^-共輸送 / 遺伝子変異
研究概要

1.研究目的腎の重要な役割の一つに体液のpHの恒常性を保つこと(酸塩基平衡)がある。私の所属していたグループでは先に、酸塩基平衡の先天的障害である近位尿細管性アシドーシス(pRTA)に様々な症状を合併する症例を報告した(Pediatr.Nephrol.8:70-1,1994.)。我々は、Na^+/HCO_3^-共輸送体(NBC)の異常が本疾患の原因であると推定し、正常型と患者型NBCの機能を比較することによりその仮説を証明した。今年度はNBCの生理的役割とpRTAの病態をさらに詳しく解明するため、正常型と患者型NBCの濃度依存性(kinetics)の比較検討を行った。
2.研究法方ヒト腎臓cDNA libraryからNBC cDNAを単離し、得られた正常型ヒトNBC cDNAに対して一塩基置換を行い、患者変異遺伝子と相同なcDNAを作成した。アフリカツメガエル卵母細胞に正常型および患者型NBC cRNAを発現させ、Na^+、HCO_3^-共輸送に伴う細胞膜電流を観察することにより機能を比較した。そして、Na^+,HCO_3^-の濃度の変化による電流の大きさの変化を検討した。
3.結果アフリカツメガエル卵母細胞発現系において、Na^+、HCO_3^-共輸送に伴う電流を比較した。患者に認められた2種類の変異により、電流は各々正常型の27%、3.0%に低下した。正常型と2種類の変異型の150Naは各々HCO_3^-10mMで、38.8、27.2、37.0mMであった。
4.考察変異型NBCのが正常型よりもむしろ低値であったことより、その機能低下は基質親和性ではなく容量の低下のためであると考えられた。この知見を日本薬理学会、日本腎臓学会で発表した。我々は独自の臨床的観察から、NBCの異常がpRTAの原因であると推定し、昨年度からの研究によりそれを証明することができた。今回の研究がNBCの生理的役割、pRTAの病態の解明の一助となることを期待する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] T.Igarashi: "Mutations in SLC4A4 cause permanent isolated proximal renal tubular acidosis with ocular abnormalities"Nature Genetics. 23(11). 264-266 (1999)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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