新生児領域において普及してきた人工換気療法である高頻度振動換気療法(HFO)は、高頻度の振動により換気を施行するものである。肺サーファクタントはサブタイプに分かれ、表面活性の高いlarge aggregate(LA)から、活性の低いsmall aggregate(SA)に転換される。この転換には、呼吸運動による気液界面積の変化が必要である。HFOでは従来のIMVによる大きな気液界面積の変化がないため、サーファクタントサブタイプ転換の面からは、HFOによる換気が有利であることが予測される。IMVとHFOの2つの人工換気療法を行った時のサーファクタントサブタイプの分布を健状肺モデルと肺洗浄による急性呼吸窮迫症候群モデルで検討した。 Veldheuzenらの方法に従って^3HでラベルしたLAの作成方法を確立した。幼若家兎の健状肺モデルに対して、^3HでラベルしたLAを経気道的に投与し、それぞれ4時間、IMVとHFOの2つの人工換気後に肺胞洗浄を行った。回収された肺胞洗浄液のサーファクタントをサブタイプに分離して、各サブタイプの^3Hの量をカウントした。^3H-LA投与の利点は、既に存在しているサーファクタントに影響されることなく、人工換気療法の種類によるサーファクタントサブタイプ転換の違いを評価できるためである。同様に、幼若家兎を肺洗浄することにより急性呼吸窮迫症候群モデルを作成して、それぞれ4時間、IMVとHFOの2つの人工換気後に肺胞洗浄を行い検討した。 健状肺モデルIMV群7例、HFO群7例に対して実験がなされた。IMV群7例の%SA(dpm)=SA(dpm)/(SA(dpm)+LA(dpm))の平均±SDは40.6±8.5%であり、HFO群7例の%SA(dpm)は37.8±9.9%であった。有意差はなかった。 急性呼吸窮迫症候群モデルIMV群6例に対して実験がなされた。%SA(dpm)は、68.8±8.0%であった。今後は、IMV群残り1例とHFO群7例に対して実験を施行して、比較検討する予定である。
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