研究概要 |
昨年度の研究で得られたマウスのゲノムDNAのZic3,Lefty1,Acvr2b遺伝子の構造解析の結果をもとに,それぞれの遺伝子の各エキソンおよびその隣接部を増幅するPCRプライマーを設計した。NODマウス,ICRマウスのゲノムDNAから増幅されたPCR産物の塩基配列をDNA自動シーケンサーを用いて決定し,NOD,ICR,C57BL/6マウスの各遺伝子の塩基配列の間に相違があるかどうか比較した。ICRは純系ではないので、100尾の集団における各遺伝子の変異の頻度を熱変性高速液体クロマトグラフィー法によって分析し、亜型アレルの頻度を決定した。またICR系統の一部はLefty1の5'末端発現調節配列内5箇所の単一塩基置換およびエキソン1内のプロリン→セリン(Pro2Ser)のアミノ酸置換(p=0.77)あるいはNodalのプロドメイン内のチロシン→ヒスチジンのアミノ酸置換(Tyr186His)を有していた(p=0.48)。最近、ラットで母体糖尿病の奇形発症と関連が指摘されている、マンガン依存性super oxide dismutatse遺伝子(Mn SOD)およびカタラーゼ遺伝子の多型と、表現型(=奇形発生)の関連についても検討したところ、NOD系統に特異的なアミノ酸置換を認められた。母体糖尿病の仔マウスにおける内臓逆位・内臓錯位の発症頻度について、NOD・ICR・C57BL/6J各系統の系統間の発症頻度の差をHnf3β・Lefty1・Nodal・SOD遺伝子配列の相違によって説明できる可能性が示唆された。
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