マウス副睾丸周囲脂肪組織には、RT-PCR法ならびにノーザン解析により副腎皮質刺激ホルモン受容体(ACTRH-R)遺伝子の発現が認められ、その発現量は副腎の約10分の1であった。副睾丸周囲脂肪組織に発現している、ACTH-R mRNA量はマウス生体へのACTG-Z、デキサメサゾン投与によっても、副腎とは対照的に有意な変化を示さなかった。マウス前脂肪細胞株であるNIH3T3-L1細胞を一定の条件で脂肪細胞に分化させて行った。In vitroの検討では、ACTH1-24の添加により、副腎由来の細胞株であるY-1細胞とは逆に、ACTH-R mRNA量の有意な減少が観察された。この現象はACTHのセカンドメッセンジャーであるジプチリルサイクリックAMP(dbcAMP)の添加により再現されたことから、副腎・脂肪細胞両組織におけるACTH-R 遺伝子の転写調節機構の違いはA-kinase活性化以降で相違のあることが推測された。 次にノーザン解析でdbcAMP添加によるACTH-R mRNA量の経時的な変化を検討したところ、ACTH-R mRNAの減少は急速であり、1mM dbcAMP添加の2時間後には約20%に低下し、以降24時間まで緩徐に減少を続けた。 さらに、新規のRNA合成を阻害するアクチノマイシンDを添加して同様の検討を行ったところ、dbcAMP添加によるACTH-R mRNA量の減少はdbcAMP添加によるACTH-R mRNAの崩壊のみならず、転写レベルでの減少があることが確認された。
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