研究概要 |
本年度は、副甲状腺癌のcomparative genomic hybridization(CGH)法の解析が終了した。前年度までの研究では、第3染色体長腕(3q)と第13染色体長腕(13q)の欠失を明らかにしていたが、CGHによると3qと13qの欠失は同様に認められたが、新たな知見として、1q,5q及び16pの染色体増幅を認めた。このことはこれらの染色体部位に副甲状腺腫瘍関連遺伝子(特に癌遺伝子)が存在することを示唆している。このような染色体の異常は良性腫瘍である腺腫と比較するとoverlapしておらず、癌が腺腫から発生するのではなく、新規に発生していることを間接的に証明するものと思われる。 次に副甲状腺腫瘍におけるmultiple endocrine neoplasia type 1(MEN1)遺伝子の異常をスクリー二ングした結果、この遺伝子の存在する11q13の欠失を認めた腫瘍を中心に解析した結果、癌ではMEN1遺伝子の異常は認められなかった。ところが、二次性副甲状腺機能亢進症の過形成では129腺中、3例において11q13の欠失とMEN1遺伝子の異常が認められた。MEN1遺伝子の異常は3例ともexon 2に認められ、219del 18,71del 29, 331del Gと全てがdeletionであった。このことより、二次性の過形成ではexon 2が遺伝子異常のhot spotであることが示唆された。
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