研究概要 |
nested RT-PCRを用いた大腸癌ドレナージ静脈血中のCEA-mRNAの検出方法は、開腹直後に大腸癌の主要ドレナージ静脈血及び末梢血をヘパリン採血し重層遠沈法を用いてリンパ球層を採取する。これよりRNAを抽出し、nested RT-PCR法にてCEA mRNA発現細胞の有無を検討している。これまでに1995年4月以降当科において切除された大腸癌症例86例(男女比/59:27,平均64.3才)、術後観察期間:6〜52(平均23.6カ月)、Dukes'A18例,B32例,C36例、根治度A76例、B2例、C8例(非治癒切除:同時性肝転移7例,リンパ節転移1例)の検討を行った。ドレナージ静脈血中のCEA mRNA発現は44/86(51.2%)と高率であり、癌細胞は高頻度に血中に流入していることが示唆された。同時性肝転移7症例では、全てドレナージ静脈血中mRNA発現が認められた。遠隔臓器再発は7例(肝転移単独4例、肝・肺同時転移3例)に認められ、ドレナージ静脈血中では肝転移再発及び肺転移も含めた血行性転移再発群は全例CEA mRNA発現陽性であった。またドレナージ静脈血中CEA mRNA発現は、血清CEA値・Dukes'等の臨床病理学的因子と相関を認めず、既存の臨床病理学的因子よりも鋭敏に肝転移を予見させる傾向が窺われ、術後肝転移の高危険群のスクリーニングとしての有用性を認めた。この知見をまとめ現在投稿中である。
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