研究概要 |
本年度は主にラットの結腸運動及びそれに対する鍼通電刺激の効果について検討した。 1.ラット結腸運動の測定 ラット結腸には、LSB(long spike bursts)と呼ばれる電気活動とこのLSBに伴って平滑筋の収縮運動が発生することが判っている。そこで先ず、近位結腸と遠位結腸の収縮波を記録した。測定には筋電図法及びstrain gauge force transducer法(SG法)を用いた。 その結果、近位結腸のLSBの出現間隔は平均47.2sec、収縮波では51.8sec、遠位結腸ではLSBは128.1sec、収縮波は120.2secであった。この様にLSBと収縮波は同時に出現すること、及び近位結腸の方が出現頻度が高い(約2倍)ことがわかった。また、収縮波の振幅は遠位結腸の方が約2倍高かった。 2.直腸拡張刺激(rectal distension:RD)による結腸運動抑制に対する鍼通電刺激の影響 近位結腸のバルーン拡張前の収縮波の5分間における出現頻度は6.5±0.6回/5minであったが、0.4ml拡張させると4.2±0.8回/5minに、0.8ml拡張で3.2±0.8回/5min、1.2ml拡張で2.3±0.6回、1.6ml拡張で1.8±0.5回と漸次収縮波の出現頻度が減少した。一方,、遠位結腸では近位結腸にみられたような抑制反応は認められなかった。 次に近位結腸における無刺激時と鍼通電刺激後のRDによる収縮波の抑制反応を比較した。無刺激群の収縮波の出現頻度は拡張前の5分間には平均6.5±0.6回/5minであったが、0.4ml拡張させると4.2±0.8回/5minに、0.8ml拡張で3.2±0.8回/5min、1.2ml拡張で2.3±0.6回、1.6ml拡張で1.8±0.5回と漸次、収縮波の出現頻度が減少した。しかし、鍼通電刺激後は拡張前の5分間に平均7.0±0.6回/5minであったが、0.4ml拡張で5.8±0.9回/5min、0.8ml拡張で6.5±0.8回/5min、1.2ml拡張で5.2±0.3回/5min、1.6ml拡張で4.2±0.7回/5minで、無刺激群と比較していずれも抑制反応が拮抗された。
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