a)臨床検体をもちいた胃癌組織における COX-2の発現 切除胃癌80例をもちい、抗CO×-2モノクローナル抗体にて免疫組織学的に検討したところ、72.5%の胃癌原発巣にCOX-2の発現を認めたが非癌部の粘膜上皮にはその発現を認めなかった。ただし、COX-2発現の有無と臨床病理学的因子との相関は認めなかった。 b)COX-2阻害剤による血管新生抑制効果 受精鶏卵の漿尿膜上に COX-2阻害剤を吸着させたディスクをのせ孵卵したのち、その血管新生抑制効果を検討した。COX-2阻害剤として NSAID_S の1つであるIndomethacinをもちいたところ、血管新生を濃度依存性に抑制したが、本来血管新生抑制剤であるTNP-470に比べ、高濃度の条件を必要とした。 c) 胃癌培養細胞株におけるCOX-2の発現とCOX-2阻害剤による増殖抑制効果 ウエスタンブロット法にてCOX-2の発現を検討し、高発現株としてMKN45、低発現株としてMKN28を同定した。これら 2株をもちい、Indomethacinによる増殖抑制効果を検討した。In vitro としてMTT assay法をもちいたところ、Indomethacinは濃度依存性に増殖を抑制したが、その抑制効果は高発現株である MKN45において顕著であった。また、in vivo としてヌードマウスの皮下に両細胞株を移植した後、COX-2阻害剤を投与したところ、Indomethacinでは高発現株であるMKN45のみ増殖を抑制した。 今後、COX-2の特異的阻害剤をもちいて同様の実験系を組む予定である。
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