1.前年度に引き続き、食道癌に対する放射線化学寮法の効果判定にフラクタル次元を用いる研究を全ての食道癌症例に対して施行し、さらに症例を蓄積した。これにより、食道癌の治療効果は従来から用いられている縮小率と同等あるいはそれ以上の鋭敏さで治療効果を反映していることが判明した。現在、次のステップとして実際の医療画像機器にフラクタル次元を計算する機能を付加できるかについて検討中である。 2.肝腫瘍のCT画像に対するフラクタル次元を用いた悪性度の判定を行うために、対象となる肝腫瘍の画像をすべて数値化し、データベースを作製する作業は既に終了した。食道癌で用いたコンパス法に加え、粗視化の技法を用いてフラクタル次元を計算中である。複数の計算法を用いることにより、対象となる腫瘍の悪性度の判定をより正確に行うことを現在検討中である。 3.マンモグラフィーに示される乳腺腫瘍に対してフラクタル次元を計算する事により、良悪性の判別のための有用な情報が得られることが明らかとなった。これを乳癌検診に取り入れることで検診の正診率が改善される可能性があり、その根拠となるべき研究を来年度実施予定である。 4.培養細胞を用いたシャーレ内での腫瘍形成過程、およびヌードマウスを用いた皮下での腫瘍形成過程を記録し、これより腫瘍輪郭のフラクタル次元を計算したが、原発腫瘍との明らかな相関は見られなかった。
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