研究概要 |
70%肝切除術を施行したラット再生肝を用いて、肝細胞、および内皮細胞の増殖をbromodeoxyuridine(BrdU)の取り込みにより評価した。 また、RECA-1抗体を用いて内皮細胞を免疫染色し、類洞内皮細胞の肝組織中に占める割合をmicrovessel density(MVD)として画像解析により評価した。また、Tie-1 mRNAの発現はRT-PCRにより、Tie-1の発現は免疫染色により解析した。肝細胞および内皮細胞によるBrdUの取り込みは、各々肝切除後24時間、72時間にピークをみとめた。MVDは肝切除前8.4%から72時間5.6%(p<0.05,vs.肝切除前)まで減少し96時間には8.0%(p<0.05,vs.72時間)と増加を認めた。Tie-1は肝切後96時間にピークを認め、同時期に内皮細胞に特異的な発現をみとめた。70%肝切除術後、肝細胞の増殖により内皮細胞の肝組織に占める割合は72時間まで低下を示した。類洞内皮細胞の増殖は肝切後72時間にピークを示し、その24時間後に類洞形成がピークを示した.Tie-1 mRNAおよびTie-1の発現は肝切後96時間にピークを示し、類洞形成のピークと同時期であった。胎児期と同様、成体での肝再生時にも Tie family が血管新生において重要な働きを持つ可能性を示した。現在、VEGF,Angiopoietin 1,Angiopoietin 2,bFGF など血管内皮細胞増殖因子とその受容体の肝再生時の血管新生における役割についてRT-PCR等にて検討中である。以上を第35回、日本肝臓学会総会にて発表し、日本外科学会、論文投稿中である。
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