研究概要 |
HLA-A2陽性者の健常人ドナーから採取した末梢血より単核球分画を採取し,GM-CSF、IL-4を添加して5日間培養し、樹状細胞(DC)を誘導した。肺癌培養細胞株PC-14を粉砕したものを tumor lysate としてこれに加え、TNF-αを添加して2日間培養した。以上の様に誘導した抗原負荷DC(pulsed DC)を抗原提示細胞とし、自己リンパ球と固相化 CD3 シャーレで2日間培養した。その後リンパ球を回収し、IL-2を添加した培地で5日間培養した。リンパ球に対して1週間毎に3回の反復刺激を行った。また、tumor lysate を負荷していない抗原未負荷DC(plain DC)を抗原提示細胞とした群、DCを用いず、tumor lysateを直接抗原とした群を同様に作成した。これらの群について、抗原刺激によるINF-γ産生能を測定し、抗腫瘍効果について検討した。 DCのフローサイトによる解析では、誘導前の状態ではCD14の発現率は高く、一方CD83、CD80、ICAM-1、CD86、HLA class II の発現率は低かった。サイトカイン+tumor lysateにて誘導・刺激した後の状態では、CD14の発現率は低下し、代わってCD83、CD80、ICAM-1,CD86、HLA class II の発現率が上昇していた。HLA class I は、培養の前後で高率に発現しており、明かな変化は見られなかった。 誘導した CTLのINF-γの産生はリンパ球+PC-14の群が有意に高く、抗 HLA-A2抗体の添加によって有意に抑制された。 以上より健常人抹消血単球由来のDCに肺癌細胞株のtumor lysateを負荷することにより、ヒト肺癌細胞に対するCTLを誘導する系を確立した。
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