研究概要 |
異種心臓移植における体外循環の抗ブタ免疫への関与を主題として検討した.人工心肺使用の心臓・大血管手術において同種輸血やタンパク製剤の輸液を行わない,いわゆる『完全無輸血手術』の複数の症例において,外因性タンパクを含まない検体の周術期における収集を経時的に行った.現在,ELISAなどによりヒト抗ブタ抗体のデータの集積を行っており解析を進行中している.またこれと平行して,一面的に解明・解決できないヒト-ブタ間の異種移植における免疫反応の解明にむけて,(1)ブタ血管内皮細胞表面のヒト免疫に対する抗原提示基である糖鎖Galα1-3Galおよびそれ以外のGalNAc,GlcNAc,Mannoseなどの糖鎖の検出とdistributionの解析のために,従来行われていたFlow cytometryや顕微鏡的免疫組織学的検索にかわる簡易な方法としてFluorescene plate readerとFITC(fluorescein isothiocyanate)conjugated Plant Lectinを用いたAssayを独自に開発,またその整合性を外因性の糖鎖で確認(Carbohydrate Inhibition Assay),(2)ヒトの抗ブタ免疫としてこれまで確認されていなかった,液性成分によるapoptosisを介した拒絶反応の機序,の二点に関する研究成果を別紙の如く3論文としてTranslpantation Proceedinds誌に掲載し内外から評価を得た.
|