悪性脳腫瘍の対する化学療法剤としてACNUがあるが、その治療効果はいまだ十分ではない。現在のところ悪性脳腫瘍に対して効果がある他の薬剤はなく、ACNUを使わざるを得ない状況である。一方で多臓器癌に対して、抗がん剤の少量頻回投与が奏功するという報告がある。今回われわれは悪性脳腫瘍に対するACNUの少量頻回投与の効果を検討した。C6グリオーマ細胞株を移植したラット脳腫瘍モデルを用いて、ACNUの少量頻回投与の効果を確認する実験を行った。ACNUの代わりに生食を投与した群(n=15)、ACNU5mg一回投与群(n=15)、ACNU250μg(n=15)を週5回4週間投与群の3群間で生存期間を比較した。その生存期間はACNUの代わりに生食を投与した群(n=15)で平均27日間、ACNU5mg一回投与群(n=15)平均34日間、ACNU250μg(n=15)平均38日間であった。ACNUの少量頻回投与群でわずかに平均生存期間が延長したが、有意差はなかった。ACNUの少量頻回投与の効果を示すことはできなかったが、生存期間の延長傾向は認められた。今後一群のnを増やすことで、その効果の有意差が認められるのではないかと考えている。
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