本研究では移植を受ける宿主のモデルとして、脳梗塞、脳出血および脳外傷モデルを用いる予定であるが、平成11年度の研究は主に宿主tのモデルの検討を行なった。脳出血モデルはcollagenase注入による線条体出血モデルの作成を試み再現性のあるモデルができるようになった。出血後の変化について病理学的には主に免疫染色を用いて、すなわちGFAPやOX41に対する抗体を用いて宿主での反応を検討した。この結果、移植予定部位である線条体のみならず遠隔部である黒質でもgliosisがおきることを確認しこの結果の一部を日本脳出血学会において発表した。脳梗塞モデルは塞栓子を用いた中大脳動脈閉塞モデルを作成し経時的にやはり免疫染色を用いてGFAP陽性のastrocyteの梗塞巣辺縁での浸潤を観察し得た。また、Blood-brain barrier(BBB)のdisruptionについて検討を加え水チャンネルであるaquqporin-4の変化についても観察しこの結果の一部を第11回国際脳浮腫および細胞障害メカニズムシンポジウムにおいて発表した。脳外傷は大脳皮質にcryogenic injuryを作成した。病理組織学的にやはり損傷部位でのBBBのdisruptionやastrocyteの浸潤について検討中である。来年度(平成12年度)に、これらの宿主モデルでの変化が中枢神経移植効果にどのように関るかを検討を加える予定である。移植細胞としては、当初胎児神経細胞を使用するつもりであったが、neural stem cellの抽出に成功したのでこれを移植細胞として用いる予定である。
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