脳卒中モデルとして、ラットの脳内出血モデルを作成し検討したところ、遅発性の出血と同側の黒質の変性が生じmicrogliaが集ることが分かった。また、このmicrogliaはMAPkinaseの一つであるp38の燐酸化が亢進していることがわかり、第77回日本生理学会、第23回日本神経科学大会および第12回神経損傷の基礎シンポジュウムに発表した。神経幹細胞はラットの胎生14日のmedialおよびlateral ganglionic eminencesより分離・調整することができた。この細胞にbFGFを添加するとEGFを添加した際より大きなneurosphereをつくることがわかり、これにより移植細胞を調整することができた。この神経幹細胞および胎仔線条体細胞を脳出血モデルラットにcell suspension法で移植した。両者とも移植片でNeuN陽性細胞、Neurofilament陽性繊維が観察され、synaptophysin陽性のvesicleが観察された。しかしながら神経幹細胞の移植片は、胎仔線条体細胞より全体に粗で周囲の反応性のastrocyteも多数みられた。このasrocyteは移植細胞がasrocyteへ分化した可能性も伺われた。以上の結果を平成13年6月9日に大阪で行われる第16回神経組織の成長・再生・移植研究会に発表する予定である。残念ながら研究報告提出期限までに、移植による機能回復の有無の検討およびオリゴデンドロサイトに対するアンチセンスの作成までには至らなかったが、引き続き研究を続け成果を発表する予定である。
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