研究概要 |
開口分泌に関与するとされている因子として近年Rab系蛋白質が精力的に検討されているが、これと分子レベルでの相互関係がほとんど明らかにされていないNSF(N-etthulmalemide-sensitive fusion protein),SNAP(soluble NSF attachment protein),SNARE(SNAP receptor)等の蛋白質は小胞体-ゴルジ体、ゴルジ体-細胞膜の小胞輸送における普遍的ないわば融合装置として作用していることが近年知られている。本研究では内分泌細胞とその腫瘍における開口分泌に焦点をあわせSNAREの構成因子であるSNAP-25,VAMP(vesicle associated membrane protein)に着目して(1)正常下垂体におけるSNAP-25,VAMPの局在と産生ホルモンとの機能的相関(2)下垂体腺種における産生ホルモンとSNAP-25,VAMPの機能的相関およぼその腫瘍化に伴う病態(3)SNAP-25,VAMPの開口分泌の調節機構 を形態学的に明らかにするのを目的としている。 本年度はVAMPのヒト正常下垂体及び下垂体腺種における局在を明らかにする目的で特にVAMP-1の免疫組織化学による検討を行った。ヒト正常下垂体ではVAMP-1の局在が確認された。一方脳下垂体腺種はその代表的症例58例について検討したところ、全ての腺種にその局在が確認されたが、その発現傾向は腺種によりまちまちであった。特にPRL腺種及びNF腺種ではVAMP-1の局在が膜周辺に認められたのに対してGH腺種では細胞質に顆粒状のシグナルが観察された。 今年度の結果を踏まえたうえで次年度は免疫電子顕微鏡を用いた観察、更に両因子の相関関係を検討する予定である。
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