研究概要 |
【目的】 近年、染色体複製に伴うテロメア長の短縮を修復する逆転写酵素であるテロメラーゼが、リンパ球の活性化や免疫応答に重要な役割を担うことが注目され始めた。そこで我々は、RAにおける滑膜増殖におけるテロメラーゼの役割りを検討した。 【方法】 RA22例と変形性膝関節症(OA)16例の滑膜組織から分離した滑膜浸潤リンパ球と滑膜細胞のテロメラーゼ活性及びテロメラーゼ関連遺伝子(hTR,hTERT,TP1)の発現度を分析し、疾患活動性及び滑膜の病理組織学的所見との関連を検討した。 【結果】 滑膜浸潤リンパ球のテロメラーゼ活性は、OA群では低レベルであるのに比べて、RA群では高い酵素活性がみられた。滑膜細胞のテロメラーゼ活性はOA群、RA群ともに全例陰性であった。RAの浸潤リンパ球において、hTERT mRNA発現量とテロメラーゼ活性には強い相関がみられ、両者ともに疾患活動性(CRP値、Lansbury index)、滑膜増殖度、滑膜組織中の炎症細胞浸潤度と正の相関を認めた。 【結論】 RAにおいて、リンパ球のテロメラーゼ活性はhTERTにより制御され、滑膜の異常増殖や滑膜炎に関与することが示唆された。
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