1.軟骨肉腫由来細胞株のキャラクタリゼーション ヒト粘液型軟骨肉腫より樹立した細胞株のキャラクタリゼーションを行った。増殖速度ではHCS-TG/C3、HCS-TG/E2の2株が10%ウシ胎児血清+10%子牛血清存在下でよく増殖し、特にC3が良好であった。コラーゲンの産生は各種コラーゲン鎖に対するspecific primerを用いて RT-PCRにて検討した。C3、E2両株ともI型、II型、IX型、X型、XI型コラーゲンを産生していた。プラテオグリカン産生は各細胞を高濃度で2週間培養した後、アルシアンブルーにて染色を行い色素を抽出して比色定量を行った。C3、E2両株ともプロテオグリカンを産生していたがその量はE2の方が多かった。以上の結果よりHCS-TG/C3、HCS-TG/E2の2株は、軟骨細胞の性格を有し、in vitroで良好な増殖を示すことがわかり、今後のXI型コラーゲンプロモーターを使用した軟骨肉腫の治療実験に有用と考えられた。 2.軟骨特異的XI型コラーゲンalpha 1鎖のプロモーターを含むHSV-TK発現ベクターの作成 教室でクローニングしたXI型コラーゲンalpha 1鎖のプロモーターと第一イントロンをプロモーターを持たないベクターpNASSβに挿入した(pColXIa1)。現在、抗ガン剤ガンシクロビルを活性化する Herpes Simplex Virus Thymidine Kinase(HSV-TK)遺伝子の下流にクラゲ蛍光蛋白GFP遺伝子をin frame で挿入したTK-GFPをpColXIa1のプロモーターとイントロンの間に挿入することを試みている。
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