ラットにおけるアジュバント関節炎モデルの多関節炎発症の過程におけるODF、RANK、およびOCIF遺伝子発現を測定した。アジュバント関節炎モデルと対象モデルを作成し、実験開始後0、10、および20日においてそれぞれの群の膝関節と血液を採取した。膝関節組織より常法によりtotalRNAを採取し、その10ugを用いてRT-PCR法びより各遺伝子発現を検討した。 アジュバント関節炎群では実験開始後10日に有意に足部浮腫が増加し、関節炎の発症を認めた。前肢のX線写真では実験開始後20日に足指と肘関節部に関節破壊像を認め、関節炎発症にやや遅れて関節骨破壊が認められた。各遺伝子発現の結果は、アジュバント関節炎群の膝関節と血液ては実験開始後10日よりODF遺伝子の発現が増加し、20日では更に増加した。また、OClF遺伝子の発現はアジュバント関節炎群の膝関節組織において実験開始後20日に発現増加を認めた。しかしRANK遺伝子の発現の変化は認められなかった。 アジュバント関節炎の発症過程において関節炎の発症と伴に、破骨細胞を誘導するODFが増加し、骨関節破壊が起こると考えられる。またアジュバント関節炎は30日後頃より関節炎が軽減し、最終的に関節炎は鎮静化することが観察されている。関節炎の極期には破骨細胞阻止因子が誘導され、関節炎や関節破壊が消退しうることが示唆されていることが本年度の実験結果より得られた。
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