足関節周囲靭帯組織におけるコラーゲン分析を目的として、足関節靭帯とアキレス腱及び周囲の腱組織を部位別に採取して、各組織におけるコラーゲン線維の免疫組織学的観察ならびに走査電顕による観察を行う。 次に、コラーゲンの生化学的分析の対象として、健常なヒトの足関節周囲靭帯組織から、前距腓靭(ATFL)後距腓靭帯(PTFL)、踵腓靭帯(CFL)、三角靭帯(DL)を各年代ごとに振り分けて採取する。各組織より、中性塩・酸可溶性コラーゲンを抽出したのち、不溶性コラーゲンを精製し、その量を測定する。次に、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて、不溶性コラーゲンの型分析を行う。HPLCを用いて、不溶性コラーゲンのアミノ酸分析を行う。、また、コラーゲンの還元性・非還元性架橋結合構造の比較分析を行う。 一連の結果から、足関節外側靭帯のなかでも、関節外靭帯と言われるATFLと関節内靭帯と言われるCFLの部位的な比較検討と、加齢に伴う変化について比較検討を行う。また、足関節の内側支持機構として強靭なDLと外側支持機構であるATFL、CFLとの部位的、機能的な比較検討を行う。更に、再建靭帯として利用されることの多い、長・短腓骨筋腱の部位別特性の分析と、ほかの足関節靭帯及び腱組織との違いにつき比較検討する。 現在まで、ヒト足関節のDLには、その主要構成成分であるI型コラーゲンとともに軟骨型の酸性ムコ多糖を有するプロテオグリカンが豊富に存在し、その量は加齢とともに減少する事が観察された。さらに、コラーゲンの生化学分析からは、DLでは加齢とともに還元性架橋は減少し、非還元性架橋結合であるpyridinoline量が増加し、コラーゲン線維が安定化してゆくことがわかった。
|