【目的】ウサギ膝関節4週間固定にて大腿骨および脛骨とも関節軟骨細胞、骨端の骨細胞および成長板軟骨細胞に、またp53(+/+)マウスでは2週固定で関節軟骨、半月板、骨端および成長板軟骨にアポトーシスを認めた。しかしながら、p53(-/-)マウスではいずれの個所にもアポトーシスを認めなかった。さらにウサギ膝関節軟骨において、p53遺伝子に対するmRNAのRT-PCRを行うと、固定群の方が未固定群よりも若干多く、p53遺伝子発現の上昇傾向が見られた。 今回ウサギを用いて、固定とともにアポトーシス陽性細胞数およびp53遺伝子のmRNA量が増加するのかを検討した。 【方法】6ヶ月齢約体重3kg雄の日本白色ウサギの右膝関節を0、1、2、3、3.5、4、5週間ギプス固定した。屠殺後膝関節を組織標本用とmRNA採取用に分け、前者はTUNEL染色によりアポトーシス陽性細胞の発現をカウントし、後者はRT-PCRにてp53遺伝子の発現量を定量的に比較した。 【結果】1、2週固定によりアポトーシス陽性細胞は増加傾向を示し、3から5週固定では有意にcontrolと比べ、アポトーシス陽性細胞は増加していた。さらにRT-PCRによりp53遺伝子のmRNAは固定3週をピークに有意に増加し、3.5、4週では若干減少するもののcontrolより有意に増加していた。 【結語】膝関節固定による荷重の減少という一種の生体ストレスにおける骨軟骨細胞のアポトーシスには、p53遺伝子が関与していることが示唆された。 【今後の展望】ウサギ膝関節固定によりp53タンパク質が増加しているのかを、ウェスタンブロットで検討中である。また、マウスにおける変性状況を組織標本で確認すべく、p53(+/+)およびp53(-/-)マウスを最高12週間まで固定して、変性過程およびアポトーシスの発生の差異を検討している。
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