目的: 最近開発されたα2-アドレナリン受容体アゴニストであるミバゼロールはイミダゾリン受容体に比べα2受容体に対する選択性(親和性)が高いため、デキサメデトメジンとは異なり血圧降下作用が少なく、その安全性が実験的に確認されている(Acta Anaesth Scand 1997)。しかし、その至適量は明らかではないため、このミバゼロールをラットのクモ膜下腔に投与し、その鎮痛効果を実験的に検討するのが目的である。 方法: (1)ラットを用いて、ミバゼロール群、生食の対照群の2群に分ける。 (2)クモ膜下腔カテーテルの挿入 ・イソフルレン麻酔下に、腰部を露出しL3-4からクモ膜下腔にPE-10カテーテルを1.5センチ頭側に進める。 ・カテーテルを固定し創部を縫合した後、麻酔から覚醒させる。 (3)1週間後に神経学的欠落のないラットにおいて疼痛実験を行う。 ・クモ膜下腔カテーテルよりミバゼロールを10μl注入し、生理食塩水10μlで洗い流す。 ・Tail Flick testによりラットが逃避行動を現すまでの時間を測定する。 ・ミバゼロール群ではミバゼロール(0.1、0.2、0.4、0.8、40、80、160μg)を投与し、投与前、投与後2.5分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、40分、50分、および60分に測定する。 (4)%MPE(maximum possible effect)を求め、経時的変化と容量反応の関係を検討する。ED50を求める。 結果: 0.1μgでは、生食投与と同様に%MPEの値は0、もしくはマイナスになった。0.2μgにおいては最大でも20%、0.4μgで最大80%になった。ピークに達する時間は、投与後5分から10分後に達する。10分後のED50は約0.3μgである。
|