研究概要 |
今年度の研究によりまずラット肺でのc-fosの発現を調べるための実験系を作成することができた。即ち30分間の高気道内圧による人工呼吸後に、肺の標本を摘出しRT-PCR法にてc-fosの発現を調べたが、今回設計したプライマー対はイントロンを2つまたいでおり、分子量から確かにc-fosが発現しており、それが測定可能であることがわかった。更に、その結果を開胸直後のサンプルと比較してみると、約2倍程度の発現の違いがあり、今回の研究にこの方法が有用であることがわかった。 しかし、in vitroでのc-fosの発現が7倍程度であったという文献(Am.J.Physiol.275,L21-29,1998)と比較するとin vivoでのc-fosの発現は低い。これはin vitroでの実験では気道内圧が20cmH_2Oと今回の2倍であることも一因であると考えられる。これらのことからデータ間のばらつきが非常に大きく影響が出ることがわかり、最適なRT-PCRの条件やサンプルの作成方法について更に検討を加えるために同一個体からのサンプルによる発現の違いを見るという追加実験を行っている。 今後、上記の追加実験の結果からc-fosの発現の違いを定量的に測定する条件を決定した後に、この方法を使って肺気腫ラットの肺に対する人工呼吸の影響をPEEPの値とc-fosの発現との関連を指標に開胸時と、閉胸時とに分けて研究を行っていく予定である。
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