前立腺癌と診断され内分泌療法を受けた50例に対し、前立腺癌取り扱い規約に準じて、経時的に原発巣の病理学的効果判定を行い、臨床経過との関連性(診断時のstage、grade、血清PSA値、PSA nadir、臨床的再燃)について評価した。stage別の組織学的効果ではgrade2か3の割合はstageB、C、Dで、それぞれ93%、42%、778%でありstageとの相関は認めなかった。grade別ではgrade3の割合は高、中、低分化型で、100%、59%、48%と分化度が高い程組織学的効果がみられた。治療前血清PSA値ではgrade3を示したのはPSAが10以下、10〜100、100以上において83%、64%、40%で、治療前PSAが低いほど治療効果が高かった。PSA nadirでは、PSA値が測定感度以下まで低下した症例はすべてgrade2か3で、nadirが10以上ではgrade3は認めず組織学的効果は不良であった。臨床的再燃は24%にみられたが、組織学的効果に一定の傾向は認めなかった。非再燃例はすべてのgradeにみられたが、grade3が68%と最も頻度が高かった。組織学的効果とclinical failureの関係は、grade0bとgrade3ではclinical failureが60%、10%で、組織学的効果度が大きいほど、再燃の頻度が低い傾向がみられた。 結論として、高分化型はいずれもgrade3で組織学的効果は高く、内分泌療法後の血清PSA値のnadirが10以上では組織学的効果が低く、非再燃例で組織学的効果度が高い傾向がみられた。 第88回日本泌尿器科学会総会(2000年)で発表した。
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