研究概要 |
1.細胞表面ペプチダーゼの1つでAngiotensin-IIの分解酵素であるAminopeptidase A(APA)が、子宮頚部腫瘍に発現し、頚部上皮内腫瘍(CIN)から浸潤癌へと病変進行に伴い発現の増加をみた。またAPAの発現レベルは細胞増殖の指標であるPCNA発現と相関した。以上よりAPAは子宮頚部扁平上皮における悪性転化や病変進行に伴い発現が増加し、これらの過程にて調節的役割を果たしていると考えられた。(Oncology 2000;58:342-352) 2.絨毛癌細胞株および絨毛癌組織においてAminopeptidase AがCytotrophoblasticな細胞に高発現しており、腫瘍性トロホブラストの分化に関連している可能性が示唆された。(Placenta 2000;21:63-72) 3.絨毛癌細胞株および絨毛性腫瘍組織(胞状奇胎、侵入奇胎、絨毛癌、PSTT)における細胞膜酵素Neutral endopeptidase(NEP)/CD10の発現と局在を明らかにし、GnRH、Endothelin-1などのペプチドを分解することによるhCG分泌制御への関連を示唆した。(Lab Invest 2000;80:1729-1738) 4.正常子宮内膜、異型内膜増殖症および子宮内膜癌組織の間質におけるNeutral endopeptidase(NEP)/CD10とEndothelin-1の発現、局在を明らかにし、両者の発現の比率と子宮内膜癌のGradeの進展との相関関係を示した。これらの結果よりNEPはEndothelin-1などの増殖因子となる基質ペプチドを分解調節することにより、子宮体癌の進展や分化に関連していることが示唆された。(Oncology,in press)
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