前年度、子宮頚癌においてリンパ管新生物質であるvascular endothelial growth factor(VEGF)-C、VEGF-DおよびそのレセプターであるFlt-4のmRNA発現およびタンパク発現を検討した。VEGF-C、VEGF-D、Flt-4のmRNAは、子宮頚癌において正常子宮頚部に比較して有意に上昇している事、VEGF-CおよびVEGF-D mRNA発現とFlt-4陽性脈管数の間には有意な正の相関を認める事が判明した。本年度、抗PAL-E抗体および抗CD31抗体を用いた2重免疫組織化学染色を行いリンパ管を同定し、VEGF-CおよびVEGF-D mRNA発現との関連を検討した。リンパ管数は、VEGF-CおよびVEGF-D mRNA発現と有意に相関し、また骨盤リンパ節転移と関連があった。この結果は、VEGF-CおよびVEGF-Dはリンパ管新生を介して子宮頚癌のリンパ節転移に関与している事を示唆している。子宮頚癌治療においてVEGF-CおよびVEGF-Dは重要な治療ターゲットである可能性が考えられた。
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