研究概要 |
今年度は昨年までに行っていた実験の結果をより明確にするためにラットに連続的にステロイド剤(Dexamethazone)を投与して鼓膜穿孔縁の閉鎖の様子を観察した。 ステロイド剤を投与することで皮膚同様に鼓膜穿孔縁において治癒遅延が起ることを肉眼的、病理学的に認めた。その結果は平成11年9月に行われた日本耳科学会で報告した。また鼓膜穿孔の再生に関与する増殖因子の中のKGF、basicFGF,TGF-αのmRNAの発現を経時的にRT-PCR法によって測定して増殖因子の発現を明らかにした。(平成12年2月アメリカ基礎耳科学会で報告)現在はこのステロイドによって創傷治癒が遅延したラットを用いて外部から増殖因子を添付することで増殖因子が実際に鼓膜の再生をどのように促進するかどうか病理学的に検討中である。この結果によっては、どのような増殖因子をどの時期に作用させれば慢性鼓膜穿孔閉鎖を行えるのではないかと考えている。
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