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1999 年度 実績報告書

副鼻腔炎モデルにおける嗅球嗅上皮の組織学的検討と培養嗅細胞移植による治療

研究課題

研究課題/領域番号 11770982
研究機関金沢大学

研究代表者

塚谷 才明  金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (20303307)

キーワード副鼻腔炎モデル / 嗅覚障害 / 免疫組織 / 嗅上皮 / 嗅球 / アポトーシス / 誘導型一酸化窒素合成酵素
研究概要

副鼻腔炎による嗅覚障害の病態を明らかにするため、ラットの一側鼻腔に細菌感染した異物を挿入して実験的副鼻腔炎モデルを作成し、異物挿入後3、7、14、21、28日目に嗅上皮および奥球を採取し組織判的に検討した。その結果嗅粘膜には炎症が起こり、時間の経過とともに嗅上皮の厚さ、嗅組胞層数、嗅上皮100μmあたりの嗅細胞数,嗅上皮基底層における喚細胞の新生が減少し、嗅上皮の辺縁では呼吸上皮細胞による置換が起こっていた。嗅細胞のアポトーシスは3、7日目で最も多くみられ、それ以降は時間の経過とともに減少していった。嗅球では14日目以降で時間の経過とともに傍糸球体細胞が減少していった。以上の結果から副鼻腔炎による嗅覚障害の病態を次のように考察した。炎症が嗅粘膿に波及すると嗅細胞はネクローシスあるいはアポトーシスを起こし,嗅細胞が減少していく。嗅上皮の辺縁からは嗅細胞の減少にともなって呼吸上皮による修復が起こり嗅上皮の面積は減少していく。嗅上皮基底層では嗅細胞の新生が抑制されるために減少した嗅細胞を補うことができず、嗅細胞は時間の経過とともにさらに減少していく。このような過程を経て嗅細胞が減少していくと、臨床的に嗅覚障害を呈するようになると考えられる。一方、嗅細胞の減少にやや遅れて嗅球では傍糸球体細胞が減少していった。傍糸球体細胞の減少が嗅覚にどのような影響を及ぼすかは不明であるが、副鼻腔炎は嗅球にも組織学的変化をもたらすことが分かった。また嗅上皮における誘導型一酸化窒素合成(iNOS)の産生について検討した結果、正常嗅上皮ではiNOSの発現を認めなかったが、副鼻腔炎モデルでは基底細胞を中心にiNOSの発現を認めた。炎症刺激により基底細胞は一酸化窒素を産生することが明らかとなったが、その意義は不明で、今後さらなる検討が必要である。

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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